1月に入り、寒さが一段と厳しくなってきました。この時期は空気が乾燥し、喉の不調や咳を訴えるお子さまが増える季節でもあります。
今回は、「咳」に関連する病気の中から、改めて大切さを知っていただきたい「百日咳(ひゃくにちぜき)」と、その予防策についてお話しします。
■百日咳ってどんな病気?
百日咳は、百日咳菌という細菌によって起こる感染症です。その名の通り、激しい咳が長く続くのが特徴で、普通の風邪のような症状から始まりますが、徐々に咳が強くなっていきます。
特に注意が必要なのは、まだワクチンを十分に打てていない生後6か月以内の赤ちゃんです。咳がひどくなり、5~10回以上途切れなく続く、発作のような激しく咳込みや、それに伴う吸うときの喘鳴、咳込み嘔吐、突然息が止まってしまう(無呼吸発作)など、命に関わる重い症状を引き起こすことがあります。
一方で、ある程度大きくなった子どもや大人が感染した場合では典型的な激しい咳が出ないことも多く、「なかなか治らない風邪」として見過ごされがちです。しかし、その間に周囲の赤ちゃんや家族に菌を広めてしまいます。飛沫感染で、感染力は非常に強いです。
昨年流行した際には、ひどい咳込みで救急外来を受診するほどであった小学生や、出席停止でイベントを休まないといけなくなった園児、重症化を警戒して入院治療をした赤ちゃん、などといったことが実際にありました。当時は流行から予防接種希望者が急増しワクチンの供給が不足する事態となりました。
■ワクチンの効果には「期限」があります
現在、日本では生後2ヶ月から「5種混合(または4種混合)ワクチン」の定期接種が行われています。これにより、多くの子どもは乳幼児期に百日咳への免疫を獲得しています。
しかし、ここで知っておいていただきたいのが、「ワクチンの効果は一生続くわけではない」ということです。
乳幼児期に打ったワクチンの効果は、最後の接種から約4〜5年が経過すると、徐々に低下してくることが分かっています。つまり、小学校入学前の5歳〜6歳頃には、体の中の免疫がかなり弱まってしまっているのです。この「免疫が弱まる時期」が、ちょうど集団生活が始まる小学校入学と重なるため、学童期の子どもの間で感染が広がるケースが見られます。
■3種混合ワクチンの接種タイミング
こうした「免疫の低下」を補うために、日本小児科学会では、任意接種(自費)として「3種混合ワクチン(DPT)」の追加接種を推奨しています。
具体的には、以下の2つのタイミングです。
① 就学前(5歳〜6歳)のタイミング
小学校での集団生活が始まる前に、弱まった免疫を再び高めてあげることが大切です。この時期に受ける「MR(麻疹・風疹)第2期」や「おたふくかぜ」のワクチンと一緒に、3種混合ワクチンを受けるのがおすすめです。
② 11歳〜12歳のタイミング
小学校高学年で受ける定期接種「2種混合(ジフテリア・破傷風)」を、「3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)」に切り替えて受ける方法です。(※任意接種となります)。
新しい年を迎え、子どもの成長を振り返るこの機会に、ぜひ一度親子健康手帳を開いて接種記録を確認してみてください。
「うちはいつ打てばいいの?」「他のワクチンと一緒に打てる?」など、気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
院長 籔内 俊彦
小児科専門医、アレルギー専門医
岡山大学医学部医学科 卒業
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 博士課程修了(医学博士)

